第一話 またまた新プロジェクト
AIプロジェクトの成功から一週間後、ちくわ君とはんぺん君は森のカフェで休憩していた。ちくわ君は相変わらず赤い木の実をポリポリと食べている。
「ちくわさん、今度は何を作りましょうか?」はんぺん君は目をキラキラさせて尋ねた。
「そうだね...森の安全を守るシステムはどうかな?災害を予測できたら、みんな安心だよね」
「災害予測!すごそうです!でも難しくないですか?」
「まずは簡単なところから始めよう。天気予報システムから作ってみようか」
その時、カフェのドアがバーン!と勢いよく開いた。
「大変だー!」
飛び込んできたのは、息を切らしたペンギンのぼんじり君だった。なぜか水着を着ている。
「ぼんじり君、どうしたの?そして、なんで水着?」ちくわ君は困惑した。
「昨日の天気予報で『大雨』って言ってたから、プールの準備をしてたんだけど...」ぼんじり君は涙目になった。「全然雨が降らないよ!カラカラ天気じゃないか!」
はんぺん君は閃いた。「そうだ!僕たちが正確な天気予報システムを作りましょう!」
「おお!それは頼もしい!」ぼんじり君は飛び跳ねた。
第二話 天気って何だっけ?
翌日、プログラミング教室で三人は天気予報システムの開発を始めた。
「まず、天気って何で決まるんだっけ?」はんぺん君は基本的な質問をした。
「うーん...雲?風?気温?」ぼんじり君も首をかしげた。
ちくわ君は苦笑いした。「天気は気温、湿度、気圧、風向き、風速など、たくさんの要素が組み合わさって決まるんだよ」
「じゃあ、そのデータを集めればいいんですね!」はんぺん君は張り切った。
「そうだね。まずは温度計を作ってみよう」
ところが、はんぺん君が作った「温度計」は、体温計を改造したものだった。
「はんぺん君、これは体温計だよ...」
「でも温度を測れますよ!」はんぺん君は得意げだった。「今の気温は36.5度です!」
「それは君の体温だよ!」ちくわ君とぼんじり君は同時にツッコんだ。
「あ、あれ?」はんぺん君は体温計を手に持ったまま固まった。
第三話 データ収集大作戦
正しい気象観測器具を森のホー博士から借りて、ようやく本格的なデータ収集が始まった。
「気温、湿度、気圧を1時間おきに記録しよう」ちくわ君が指示した。
「はい!」はんぺん君は張り切って記録を始めた。
しかし、一時間後...
「おかしいな...記録用紙がない」はんぺん君は困惑していた。
「もしかして...」ちくわ君は嫌な予感がした。
はんぺん君の口の周りには、紙切れがついていた。
「はんぺん君、まさか記録用紙を...」
「あ!お腹が空いて、つい...」はんぺん君は青ざめた。「紙って案外美味しいんですよ!」
「データが全部なくなっちゃったじゃないか!」ぼんじり君は頭を抱えた。
「今度はコンピューターに直接記録しよう...」ちくわ君はため息をついた。
第四話 プログラムが動かない!
データをコンピューターで管理することにした三人。ちくわ君がプログラムを書いている間、はんぺん君とぼんじり君は観測を続けていた。
「できたよ!気象データ管理システム完成!」ちくわ君は満足そうだった。
「おお!早速使ってみましょう!」はんぺん君は興奮した。
プログラムを実行すると、画面にエラーメッセージが表示された。
『エラー:温度データが1000度を超えています』
「1000度?」三人は首をかしげた。
「あ!」はんぺん君が思い出した。「さっき温度計を暖炉の近くに置いて、お昼寝しちゃいました...」
「暖炉の近く!?」ちくわ君は驚いた。
「温度計が熱くて触れません!」ぼんじり君が慌てて報告した。
温度計は真っ赤に熱せられて、もはや気象観測器具ではなく、調理器具と化していた。
「これじゃあ天気予報どころか、BBQの準備だよ...」ちくわ君はガックリした。
第五話 AIに任せてみよう
手動でのデータ収集に限界を感じた三人は、AIを使った予測システムを作ることにした。
「過去の気象データを学習させて、明日の天気を予測させよう」ちくわ君は提案した。
「それは賢いアイデアですね!」はんぺん君は目を輝かせた。
しかし、問題が発生した。
「あの...過去の気象データってどこにあるんですか?」ぼんじり君が恐る恐る尋ねた。
「えーっと...」三人は考え込んだ。
「そうだ!おもち君の日記に天気のことが書いてあるかも!」はんぺん君が閃いた。
おもち君の日記を借りてきて読んでみると...
『今日は晴れ。人参が美味しい』『今日は雨。人参が美味しい』『今日は曇り。人参が美味しい』
「おもち君の日記、天気よりも人参の話ばかりだね...」ちくわ君は苦笑いした。
「でも天気は書いてありますよ!使えます!」はんぺん君は楽観的だった。
第六話 予測結果が変すぎる
おもち君の日記データを使って、ついに天気予測AIが完成した。
「さあ、明日の天気を予測してもらおう!」ちくわ君がボタンを押した。
画面に結果が表示された。
『明日の天気:人参雨。降水確率90%。傘とお皿を持参してください』
「にんじん雨?」三人は困惑した。
「もう一度試してみよう」ちくわ君は再実行した。
『明日の天気:ドングリ嵐。風速25メートル。美味しそうなドングリが大量に飛んできます』
「今度はドングリ嵐?」はんぺん君は目を丸くした。
「何か違うな...」ぼんじり君も首をひねった。
さらにもう一度実行すると...
『明日の天気:赤い木の実竜巻。避難してください。でも美味しいので少し食べてもいいかも』
「なんで食べ物の天気ばかり予測するんだ!」ちくわ君は頭を抱えた。
「あ...」はんぺん君は思い当たることがあった。「もしかして、僕たちの食べ物AIのデータも混ざっちゃったんじゃ...」
「あああああ!」三人は同時に叫んだ。
第七話 森の大混乱
その日の夕方、三人の間違った天気予報が森中に広まってしまった。
「明日はドングリ嵐だって!」「人参雨が降るらしい!」「赤い木の実竜巻が来る!」
森の動物たちは大パニックになった。
リスたちはドングリを受け取るために大きな袋を用意した。
ウサギたちは人参雨を集めるために洗面器を並べた。
クマのがんもちゃんは「赤い木の実竜巻なら少し食べても大丈夫」と言って、口を大きく開けて空を見上げていた。
「これは大変なことになった...」ちくわ君は青ざめた。
「どうしましょう!みんなが僕たちの予報を信じて準備してます!」はんぺん君は泣きそうになった。
「明日、本当にドングリが降らなかったら大変だよ!」ぼんじり君も焦っていた。
第八話 緊急事態発生
翌朝、三人は恐る恐る外を見た。
「あ...普通に晴れてる」はんぺん君は小声で言った。
「ドングリも人参も降ってない...」ぼんじり君も震え声だった。
その時、森の動物たちが三人の前にやってきた。みんな怒った顔をしている。
「おい!ドングリ嵐はどうしたんだ!」森のリスたちが抗議した。
「人参雨も降らないじゃないか!」ウサギのおもち君も不満そうだった。
「僕は一晩中、口を開けて待ってたのに...」クマのがんもちゃんは疲れ果てていた。
「すみません!すみません!」三人は土下座した。
「実は、AIが間違った予測をしてしまったんです!」はんぺん君は正直に説明した。
「そういうことか...」動物たちは理解を示してくれたが、がっかりした様子だった。
「今度はちゃんとした天気予報を作ってよ」おもち君が言った。
「はい!必ず!」三人は約束した。
第九話 基本に戻ろう
失敗を反省した三人は、もう一度基本から学び直すことにした。
「そもそも、僕たちは天気のことをよく知らないんじゃない?」ぼんじり君が気づいた。
「確かに...プログラムを作る前に、天気の仕組みを勉強しよう」ちくわ君は提案した。
三人は図書館に行って、気象学の本を読み始めた。
「雲は水蒸気が冷えてできるんだって」はんぺん君が読み上げた。
「高気圧と低気圧で天気が変わるんだね」ぼんじり君も勉強熱心だった。
「気温と湿度の関係も大切だ」ちくわ君はノートにまとめていた。
一週間かけて、三人は天気の基本をしっかりと学んだ。
「今度こそ、ちゃんとした天気予報システムを作ろう!」はんぺん君は決意を新たにした。
第十話 シンプルイズベスト
今度は複雑なAIではなく、シンプルなルールベースのシステムを作ることにした。
「気圧が下がったら雨」「湿度が高くて気温が低いと曇り」「風が強いと天気が変わりやすい」
ちくわ君は基本的なルールをプログラムに組み込んだ。
「これなら理解しやすいね!」はんぺん君は感心した。
「複雑なことをするより、基本をしっかりする方が大切だったんだね」ぼんじり君も納得した。
早速テストしてみると...
『明日の天気:晴れ。気温22度。風は弱く、絶好のピクニック日和です』
「おお!普通の天気予報だ!」三人は喜んだ。
「食べ物が降ってこない!」
「当たり前だよ!」
エピローグ 成功の瞬間
新しい天気予報システムを一週間テストした結果、70%の確率で正確な予報ができるようになった。
「すごいじゃないか!」森の動物たちは三人を褒めてくれた。
「前回より全然いいよ!」おもち君も満足そうだった。
「ドングリが降らないのは残念だけど、安心して外出できるよ」森のリスたちも笑顔だった。
成功を祝う森のパーティーで、ちくわ君は赤い木の実を食べながら振り返った。
「今回学んだことは何だった?」
「基本が一番大切だということです!」はんぺん君は元気よく答えた。
「それと、間違いを恐れちゃダメってことかな」ぼんじり君も付け加えた。
「そうだね。失敗から学ぶことが、一番の成長につながるんだ」
三人は新しい冒険に向けて、またワクワクし始めていた。
「次は何に挑戦しましょうか?」はんぺん君が尋ねた。
「そうだね...今度は森の交通システムを作ってみようか」ちくわ君は提案した。
「交通システム?」
「森の動物たちが効率よく移動できるシステムだよ。でも、きっとまた面白いことが起こるだろうね」
三人は笑い合った。失敗も成功も、仲間と一緒なら何でも楽しい冒険になる。それが彼らの合言葉だった。
次回予告:ちくわ君とはんぺん君が作る森の交通システム。しかし、はんぺん君が設計した道路は全部食べ物屋さんに繋がっていて...?新たなドタバタ劇、ご期待ください!