森の午後と突然の訪問者
ある静かな午後、森の中のちくわ研究所では、ちくわ君が赤い木の実を片手にコーディングしていた。「よしよし、オイラーの公式もばっちりだな」と満足げに頷く。
そこへ、はんぺん君がリュックを背負って駆け込んできた。「ちくわさん!今日は微分積分を教えていただけませんかっ!」
「もちろんさ、はんぺん君。積分の美しさに触れたい気分か?」ちくわ君はニヤリと笑って、赤い木の実をもう一粒かじった。
微分ってなあに?
ちくわ君は木の棒で地面に関数のグラフを描いた。「さて、まずは『微分』だ。関数の傾きを求める操作で、瞬間の変化をとらえる。例えるなら…木の枝を登るリスの速さだな。」
「なるほど!位置の変化が速さになるんですね!」と、はんぺん君。
「その通り。たとえば、位置が x(t) = t^2 なら、微分すれば dx/dt = 2t。つまり、時間が2秒のとき、速さは4になるってわけ。」
「わあ、分かりやすいです!」
積分ってなんだろう?
ちくわ君は続けた。「じゃあ次は『積分』。これは逆に変化から元の量を求める。リスがどれだけの距離を進んだかを、速さから積み重ねて求めるんだ。」
「つまり…速さが分かってれば、どれだけ移動したか分かるってことですか?」
「その通り。たとえば速さが v(t) = 2t なら、0秒から3秒までの移動距離は、∫0^3 2t dt だ。計算すると、[t^2]0^3 = 9。つまり9メートル移動したってこと。」
「すごい!魔法みたいですね、積分って!」
「魔法じゃないよ。ロマンさ。あと大事なのは、微分と積分は逆の操作ってこと。これを『基本定理』って呼ぶんだ。」
記号にも意味がある
「ふむふむ……あの、ちくわさん。積分記号 ∫ って、何か由来があるんですか?」
「鋭いなあ。あれはドイツ語の『総和(Summe)』の頭文字Sを伸ばした形なんだ。積み重ねるって意味でね。」
「なるほど〜!」はんぺん君の目がキラキラ光る。
もっと学びたい!
その後もふたりは、森の中に座り込んで、関数の面積や平均値、加速度の話に夢中になった。ちくわ君が落ち葉の上に描いた曲線の下の面積を、はんぺん君は夢中で測っていた。
日が傾き始めたころ、ちくわ君が言った。「はんぺん君、今日はいい質問がたくさん出たな。積分ってのはね、世界をなめらかにつなげる知恵なんだ。」
「ちくわさん…!ぼく、もっと勉強したくなりました!」
「よしよし、その意気だ。じゃあ次は、フーリエ変換の話をしようか。」
「ふ、フーリエ……?なんだかすごそうです!」
「波を分解する技術さ。音楽も光も、それで理解できるようになるんだ。次の赤い木の実が熟す頃までに準備しとくよ。」
こうして、微分積分という名の知的冒険は、今日も森の中で続いていくのでした。